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生産者と小売店と、花業界の一員として業界全体を考えたい〜フローラ平山様 その8〜

By 北浦 令偉, 公開日 2022-01-01T03:00:00.000Z

生産者と小売店と、花業界の一員として業界全体を考えたい

花業界では、花は嗜好品であり、景気の動向に左右され、好き嫌いに左右され、何かあるとすぐに傾く、という考え方が根付いていると、平山さんは感じているそうです。また、「若い人たちが花を買わない傾向にある」と言った業界全体の悩みもあるそうです。

お話を聞いていて、居ても立っても居られない気持ちにさせられました。平山さんがお話しくださった花業界のお話は、今、どの業界にも起こっていることだと思いました。

 

「お互いを考え、共存し、業界全体を盛り上げる」

 

難しいことかもしれないけれど、やっていかなければならないことでもあると、考えさせられました。

 

 

(平山さん)

花業界は、今「若い人たちが花を買ってくれない」って一つ課題になっているんです。花業界に活気がなくなってきてる要因は、いろいろあるんですけど「野菜は、胃に入る物だから生きていく為に必要だけど、花はいらないよね。花は人が生きるために、別に無くたっていいものだから。」というのが一般的な考えですよね。

 

「20代30代の若い人たちが、花を買ってくれない。このままではやばい。」っていう危機感は、花業界全体で共有しているんだけれども、じゃあ具体的にどうアプローチしていこうかっていうのがないんですよ。分かっていることはあるんですよ。実は若い人たちは花の価値を知っていて、ただ、自分用にではなく他人用にお金を使うっていう傾向があるんです。若い人は、自分以外の誰かにプレゼントをするっていう傾向にあるんです。割とプレゼントをするんです、20代30代の方は。誰かのために花を買うっていう買い方になっているんです。花の価値は知っている。喜んでくれるのを見て楽しむっていうことはやる、だけど自分には買わないっていう。じゃあ、そこをどうやって打開していくのかってことを、業界全体で考えなくちゃいけないんです。

 

花業界が今、衰退していってる一番の要因は、輸入品が増えてきたことだと、私は思うんですよ。量販店が大量に輸入品を仕入れるようになって、それを安く売るっていう流れを作ってしまったこと。じゃあ、その流れに「うちはどうにか対抗しようか」って考えた時、「輸入品に対抗して、安くしないと、大量に売れないんだ」「どうやって安くても利益が出るようにするか」って考えた方が多いんじゃないかと思うんです。

 

もう一つ安値競争に拍車をかけているのが、直売所が増えてきたってことですね。昔は、花農家は作った花は全て市場に出荷するのが普通でした。市場の規格って、実は、もう、めんどくさくなるぐらいすごく細かいんですが、市場に出荷することを目標に花を作ってるうちは、市場の規格に合格する様に作っているんで、品質は保てるんですけど、直売所に置いてもらうようになると、「直売所で花を買う人って市場ほど細かいこと言わないよね」って思うようになって、だんだん花の作り方に手間をかけなくなって安く作るようになり、だんだんに品質が悪くなっていく、値段もどんどん下がっていく、安く作って安く売るっていう悪循環にハマっていっている状態。安値競争に、みんな乗っかってしまったために、安くて品質が悪い物が多くなってきてしまっているんです。

 

花業界には、花を作る花農家と、花を販売する花屋さんと、それを仲介する市場、あと直売所や量販店と色々ありますけど、花屋さんにしかできないこと、量販店にしかできないこと、生産者にしかできないことがそれぞれあると思うんです。生産者にはできない、花屋さんにしかできないことっていっぱいあると思うんですよ。どうしても「市場で出てきた物を仕入れて、売るっていうのは限界がある。欲しいものが常に市場に出てくるわけじゃないし、希望した値段で仕入れできるわけじゃない」っていう中で、花屋さんも経営しているので、一貫したメッセージを消費者に発信したいなって思っても、花屋さんなりに難しさがあって、うまくいかないんだろうなっていうのも分かるんです。だけど、花屋さんも、そのお店、そのお店でいろんな「自分のところの形」というのを決めて、様々な消費者のニーズにアプローチするっていうのはできるはずだと思うし、業界全体で考えた時に大事なことだと思うんです。

 

実は、生産者である農家と販売者である花屋さんが、業界について話したり、交流を持つことって無いんです。

 

「花を買う人が年々減っている」って花業界全体では騒いではいるけど、「花業界全体として、どう考えるか?」っていうところが欠落している気がします。生産者も市場も花屋さんも、共通認識を持って一緒に何かをすることって無いんですよね。作る方は作ることしか考えないし、売る方は売ることしか考えない、それではまずい。業界全体を巻き込んでの情報交換っていうのが必要なんだと思います。生産者からすると、情報交換がない状態だと、お客様に喜んで買ってもらったっていう実感が沸かないっていうか、お客様の声がさっぱり見えてこないんですよ。年代とか性別とか、どんな人が、誰のために、何のために、うちの花を買っていって、お客様がどんなふうに感じてくれたのか、何にも知ることができない。知りたいですよね。お客様のニーズを知ること、お客様に喜んでもらったという実感、これは花業界全体で必要なことだと思うんです。

 

花業界は、みんな同じ花の仕事をやっているんだから、何が大事かといえば、いろんな価値観のあるお客様に「花っていう物をどうやって飾ったら楽しいか」っていう提案を、お客様の声を聞きながら、業界全体で情報を共有してやればいいことであって、安売り合戦で顧客の奪い合いをするとかじゃなくて、もっと大きい枠で物を見て、「業界全体をどういう風にしていくかっていうことを考えながら共存していきましょう」って思うんです。

 

「一緒にやろうよ」っていう話をすることによって、色々な蟠りはなくなっていくし、棲み分けをしようとお互いに意識するようになるし、「あの人はああいう物を持ってくるから、じゃあ私はこういう物を持っていこう」とかって考えて仕入れをしたり、生産したりする様になってくる。目にははっきり見えないですけど、そういうことをお互いに意識して、考えて、立ち位置を作ろうと、お互い共存しようとやっていく。そういう動きっていうのは、鹿島台近辺だけの話じゃなくて、日本全体の花業界に出てこなくちゃいけないんじゃないかなって思っています。