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最初の頃に感じた違和感と焦り〜フローラ平山様 その6〜

By 北浦 令偉, 公開日 2022-01-01T03:00:00.000Z

最初の頃に感じた違和感と焦り                    

平山さんは分析魔なのだそうです。データの積み上げと分析。その結果をもとに、「まずいな」と思ったものはパッと形を変え、伸びているものは次の年に増やす。これをこの9年間繰り返し、売上を伸ばしてきたんだそうです。「数字は嘘をつきませんし、こういったことは細かく、洗い晒し全部出さないと、何も見えてこないので、徹底的にやっています。」と。しかし「売り上げが伸びている」と言っても、それは今現在の話。最初から色々とうまくいったわけではないそうです。

 

(平山さん)

私が就農した後、私のチャレンジは「市場から離れてみよう。市場に出荷するんじゃなくて、一般の方に対して、自分たちの作った花を売ってみよう」って話から始まったんです。これ実は、業界が向かおうとしていることと真逆のことをやろうとしてて、なかなか理解されないんですよね。父なんかはずっとこの業界にいて、感覚で全てやってきた人で、父の世代では、全て感覚でやるのが当たり前で。それを「感覚的なものではなく、具体的に数値やデータに起こして目に見えるようにしよう。」と言ったって、「そんなもの必要ない。」と言われてしまって。「ハウスの中の温度が細かく分かったからって、何になる?」と、言われてしまうわけですよ。「この時期のこのぐらいの温度になったら、このぐらい開ければいいんだ。」とか、本来、何十年も経験を重ねないと身に付けることができない技術を、データを使うことで補うことができないか?という話なんですけど、父は長年の経験、何十年っていう積み重ねで、ハウスの温度や、ハウスの窓をどれくらい開ければいいかが感覚でわかっている。だから、「データはいらない」と。しかし、全てを感覚に頼ってしまうと、続可能な経営ってできないんですよね。次の後継者を育てようってなった時に、感覚ももちろん必要ではあるんですけど、ある程度、数字に起こして目に見える様にするってことが大事で、感覚とデータとをうまくミックスしていかなきゃいけないと、私は思っているんです。私が見ていると、業界内でも、ほぼほぼ感覚で作っている人が多くて。これからのことを考えて、「どうデータを入れて活用していくか」「どう科学的に話を入れていくか」ってことをやりたかったんですけど、なんて言っていいか分からないくらい、全然理解してもらえなかったですね、最初。

 

あと、最初の頃は、物事を進めるスピードの差が耐えられなかった。自分の感覚からしたら、もう遅くて遅くて。ただでさえ自分のやりたいことが理解されないということにプラスして、スピード感の違いもあって。もう、耐えられないんですよ。それこそ竹槍でアメリカ軍と戦えと言っている感覚ですよ。「こんなにもスローリーで、大丈夫なのか?!」「もっと世の中は進んでいるのに、なんでこんな状態なの?!」「もっとあれもこれもしなきゃいけないのに!やらなきゃいけないことが、ものすごい山ほどあるのに!このスローリーな感じ!どうしよう!?」っていう焦り。最初、焦りがすごくて。でも、父に言っても伝わらないし、逆に「何を訳変わらないことを言ってるんだ?」って言われる状態だったので、「どうしたらいいんだろう?この溝をどうやって埋めよう・・・」って、焦るし、悩むし。でも、当時は相談できる人が誰もいなくて、毎日毎日「どうしよう、どうしよう」って考えてましたね。

 

父が考えているよりも、もっと世の中は進化していて、もっと便利になったり、もっと速くなったり、もっと、こう、うまくできることが山ほどあるんだけれども、そこに父の価値観が追いついてくれない。父からすると「お前は何を言っているんだ?」っていう。何回も父と話はしたんですけれど、なかなか理解されなくて、挙句に「あれ?もしかして、俺の方がおかしいこと言ってるのか?」って頭の中が混乱しすぎちゃったこともありましたね。