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作る現場だからこそできること〜フローラ平山様 その4〜

By 北浦 令偉, 公開日 2022-01-01T03:00:00.000Z

作る現場だからこそできること

平山さんは、学業を卒業してすぐに就農したわけではなく、数年間、関東の大手ホームセンターで切り花のバイヤーをされていたんだそうです。お話を伺う中で、平山さんがバイヤーのお仕事にとてもやりがいを感じていた、ということが伝わってきました。たくさんの現場を見てこられ、成果も出してこられたのでしょう。では、なぜ、ご実家とはいえ、東北の田舎の花農家へ戻っていらしたのでしょうか?

 

(平山さん)

サラリーマンを辞めて、実家の花農家で仕事をする、切り花のバイヤーを辞めるって話をした時、会社の内外から「農業の現場で、それも高々何千万っていう規模のところに戻って何ができる?」「何千万ではなく、もっと何億という単位で花業界に貢献する仕事の道を選んでもらわないと業界としては困る。」と言われたました。それはすごくありがたいことで、当時、すごく悩んだところで。情報を発信するスケールっていうのは、大手だと、花だけで売上が年間120億くらいあるんですね。当然、そっちの方が世の中に影響を与えられるっていうのは、確かにあります。でも、「やっぱり原点に戻らないとできないことってあるな」って思ったんです。

 

花作りは、うちは父の技術というしっかりした土台があったので、大きさ、美しさ、日持ちなど、品質に自信があったんです。そこで、今まで、フローラ平山は市場にしか出していなかったけど、ちょっと形を変えて一般のお客様に直接販売してみようと思ったんです。きれいで、大輪で、品質が良い花、フローラ平山で作った花。自分が「綺麗だ!」って信じた花を作り、例え値段は高くても、その価値に共感してくれるお客様へ、この花こそ欲しいと言ってくれるお客様へ直接提供する。「お値段は張るけど、やっぱり、このぐらい綺麗な花じゃないとね」そう言ってくださるお客様が、果たしてどのくらいいるのか?それを知るためには、作る現場に行かないとできないんです。

 

義務的に、消耗品として花を飾るのではなくて、もう一回、「花を飾るっていう原点」に立ち返ってもらって、「花ってきれいだな」って嬉しい気持ちになったり、癒されたりする、本来人間が持っているそういった気持ちを、もう一回掘り起こすっていうのは、作る現場じゃなきゃできない。そういったことを、一番小回りが効いて、ぱっとできる場所、それは花を作る現場だなって思って、お客様との距離も近い花農家である実家に戻ってきたんです。

 

戻ってくるにあたって、一番説得しなきゃならなかったのは実は父だったっていう、予想外の展開に苦労するっていうオチがありましけどね。実は、父からするとまだ納得してない点も多々あるみたいなんです。